エルサレムへの旅(20)

 ベツレヘムは主イエス様の生誕地として有名である。「ああベツレヘムよ」をはじめ多くのクリスマスキャロルでも歌われている。ルカによる福音書によれば、主イエスは家畜小屋の中でお生まれになったのであるが、この生誕教会はその場所の上に建てられたと伝えられている。この会堂の祭壇の地下にある洞窟こそが、その家畜小屋の跡だと言う。

 この教会堂は最初紀元 326年にローマ皇帝コンスタンティヌスによって建てられたのだが、その建物は現存せず、ただ床にその時代の古いモザイクの一部が残されており、観光客は誰でも見ることができる(この会堂は入場無料)。現在の会堂の形は6世紀のユスティアヌス帝時代のものだそうだ。

 私たちは前庭の右隅にある小さな入口、大人が身を屈めて一人ようやく入れるその入口をくぐり抜けてその会堂の中に入った。その会堂内は天井が高く石の柱が何本も並んであり、会衆は千人も入場できるほどの広さがある。堂内はかなり薄暗く床下の古いモザイク画も灰色に見える。会堂の右側を長い行列の後についてゆっくりゆっくり亀よりもゆっくり進んでいく。ようやく祭壇脇まで来ると、その直ぐ先の左側の洞窟を降りて行く入口があった。