エルサレムへの旅(21)

 洞窟への入口も会堂の入口と同様にとても狭く、腰を屈めながら階段を10 段ほど下りてゆく。出てくる人とすれ違うことは不可能ではないが、かなり窮屈である。洞窟の幅は約2m、高さも2m、奥行きは間仕切りがされていて不明だが見学できるのは 10m ほどの長さである。中は灯火で少し明るい。

 主イエスの生誕の場所とされている所は入口の階段を下りて左に向いて、そのすぐ左側の岩壁の下側にある。そこは1mほど岩がくり抜かれ、その床に金属製の大きなベツレヘムの星が埋め込まれてある。その星の中央は丸くくり抜かれ、そこが主の生誕のメモリアルポイントとされている。

 当時の家畜小屋のほとんどは洞窟であり(貧しい人々の住居でもあった)マリアとヨセフが泊まった所もこのような洞窟であったと思われる。ここに会堂が建てられたのが主の生誕後350年も経ているので、考古学的には同定されるには至っていない。

 ベツレヘムにはこのような洞窟が他にもあって、学者達の意見もまちまちである。カトリック系の文献には、この生誕教会の一画にはへロデ大王によって殺害された幼児たちの多数の骨が残されていることに言及しているものがある。