エルサレムへの旅(23)

 アラブ人の少年達を追って行ったイスラエル兵達は皆若く見え、メンジャー(かいばおけ)広場は一瞬緊迫した状況になった。それでも私たちはここで昼食をとる事にしていたので、広場に面した食堂で、店頭のパラソル付きのテーブルを囲んでその椅子に腰を下ろした。

 リーダーのS師はこの状況にひどく動揺され、早々に食事を終え、このベツレヘムを去ろうと言われた。ツアーメンバーの安全を危惧なさったのである。しかし私はS師にせっかくの機会なので、私が生誕教会の外回りを一周見て回る時間を下さるように頼んだ。S師は渋々であったが了解して下さったので直ぐに一人で歩き始めた。

 まず、生誕教会の北西方に行きその角の駐車場の小さな広場の奥へ行き西側の景色を眺めた。家屋の向こう側に荒涼たる山々丘々が彼方に見える。家屋が邪魔をして満足できる光景ではなかったが、少し高い所から見ればきっと壮観な景色であろう。そして、そこから生誕教会の西側の細い道を南に向かって歩き始める。左側は教会敷地の高い石壁、右側は土産店が何軒か並んでいる。店内にはオリーブの木を彫って作った色々のサイズの置物(飼い葉おけの主イエス、ヨセフとマリア、羊飼い、博士達の家畜小屋のもの)などがあった。