エルサレムへの旅(25)

 ベツレヘムの生誕教会堂の裏側は、幅 20m程の雑草の生えた空地になっており鉄条網の簡素な柵で囲まれてある。その空地に沿った細い道を東に向かって歩を進めると、左手のその空地の奥の方からガサガサと物音が聞こえてきた。その方に目を向けると数人の人影が雑草の合間から見え隠れする。よく目を凝らして見ると、どうやら先程メンジャー広場でイスラエル兵に投石して、兵士に追われて逃げていった少年達である。

 彼等はじっと私を見つめているのが判ったので、私は咄嗟に左手を挙げて彼等に手を振ってみた。すると彼等はそこに立ち上がって私に向けて笑顔で手を振ってくれるではないか。私も笑顔で応え、足を止めることなくそのままそこを通り過ごした。平静を装ったが心は動揺し、足は地に着いた感がしなかった。

 会堂の東側に出て左折しメンジャー広場に向かった。この道は南側がかなりの下り坂になっていた。私は北側に上って行き S 師達が待って下さっている所に戻った。この広場からアラブのタクシーでエルサレムのダマスコ門まで帰ったが、帰りのタクシー代は行きより 10 倍以上も料金が高かった。タクシーを下りた私達はダマスコ門から旧市街(城壁内)に入りヴィアドロローサ(悲しみの道)に向かった。