エルサレムへの旅(26)

 ダマスコ門から城内に入ると活気に満ちた空間であった。人々が行き交い、じっと立ち止まっていることが難しいほどである。

 道幅は充分に広い。その両側は店が並び、更に道の中央にも露店が続いていて青果や雑貨を売っている。そのために通路は狭くなり、人々は前に歩く人をかき分けながら前進して行かなければならない。道は石畳でゆるやかな下り坂になっている。この辺りはアラブ人(イスラム教徒)地区で彼らの生活の中心の市場なのであろう。エルサレム旧市街は四つの地区に分かれており、最も広い地域(約4割)、ダマスコ門周辺から東側全部と神殿跡がイスラム教徒地区とされている。

 その雑踏の中を真直ぐ歩いてゆくとヴィアドロローサの第七ステーション辺りに出る。ヴィアドロローサ(悲しみの道)とは主イエスが十字架を背負わされ刑場のゴルゴタまで歩かされた道のことを言う。第一ステーションは主イエスが死刑判決を受けた場所で現在はアラブ人の小学校敷地内にある。そして最後の第十四ステーションは聖墳墓教会内の主イエスの墓とされる場所である。第七ステーションは主イエスが十字架を背負って二度目に倒れた所とされ、ここにはフランシスコ会(カトリック)の小聖堂がある。この辺りから西側はキリスト教徒地区で、旧市街の北西地区全体を占めている。