独りヴォランティア(1)

 部屋に戻ってシャワーを浴びた後、暫く休息の時を過ごした。昨夜までの3週間はずっとS師と同室で1日 24時間プライバシーも自由も殆どなく拘束された生活であった。しかし、この午後からは一切の束縛から解放され自由時間を持てるのだ。この開放感は言葉では表現できない。今まではすべてが団体行動であって朝の起床から夜の就寝まで自由行動ができず、息が抜けなかった。私の心は窒息してしまいそうであったが、今は思いっ切り深呼吸ができるのだ。

 部屋でくつろいでいると、南アフリカからのヴォランティアの一人が「ユキオ、荷物届いているよ」と日本からの郵便物を届けてくれた。家内からの小包だ。中には便りと食品が入っていた。嬉しくて直ぐに返事を書いた(家内からの手紙はこれで3信目である)。夕食を済ませて更に日本への手紙を二人の方に書き終えた。午後8時になって、これから後の自由時間の過ごし方の計画を立てた。

 日本から持ってきた書物は「聖書」、「聖歌」、「ヘプライ語入門」、「一日一生」(内村鑑三)、「地の基ふるい動く」(パウル・ティリッヒ説教集)である。他に英会話、和英辞典も持参したが、先に書いたように、これらは遺失した。これらの書物を日課として読み、学ぶことにした。

 今朝帰国された宮本姉が『イスラエル・ガイド』(ミルトス社)を私に残して下さった。これは滞在中大変役立った。