独りヴォランティア(22)

 夕食後、隣室のフレッド(南アフリカ共和国からのヴォランティア)に今早朝に何があったのか尋ねてみた。早朝に突然キャビンがけたたましい音や奇声と共に大きく揺れ動くのでベッドから起きて窓の外を見た。ニッキ(女性)たち(英国人ヴォランティア)が隣室の前に立っていて、フルヴォリュームでラジカセを鳴らし、じっとフレッドの部屋の窓の方を見ていたのだ。

 時は夜中の3時だ。フレッドが語るところによると、ウォッカで泥酔した彼らは窓を破って室内に侵入しようとしたのだが果たすことが出来ず、一度は引き揚げた。6時頃に再び来て今度は窓を壊して室内に優入し、フレッドのパジャマとシーツに放火したり暴行を加えたのだと言う。南アフリカのヴォランティアリーダーがフレッドからこのことを聞いてアロン(キブツのヴォランティア世話係)に連絡していたので、アロンとヴォランティアたちが、キャビンに集まって来た。フレッドはアロンから事情を聞かれていた。この事がきっかけでフレッドといろいろ話せた。彼の両親は熱心なクリスチャンだそうである。

 4月13日(水)、この日は午前10時に近くの町ハデラでテロによる爆破事件があり6人が犠牲になった。先日はアフラであったが、すぐ近くまでテロが迫っていると思った。今タはイスラエル独立記念日のアトラクションがキブツ内でも夕食後にあるらしい。(この日をねらったテロであった)。食堂横の芝の上で夜会が盛大に行われていたが、疲れていたのでキャビンに戻ってシャワーを浴びてから休んだ。