独りヴォランティア(24)

 この日(4/24)は東風の日で大変な暑さと乾燥のため、仕事は午前中で終わった。野草は既に黄色く変色し始め、あれだけ美しく咲いていた花々、とりわけ「あざみ」は既に綿帽子を飛ばし、葉も枯れてきている。何という季節の変わりの速さか、しかし野の花々もしたたかである。花の状態から極く短期間で実(種)を結んでしまっている!

 昼食後ゆっくり休もうと思ってキャビンに戻った。でも、この猛烈な暑さは、ベッドに横になって眠ろうとしても、本を読むにしてもそれを不可能にしてしまう。気分が悪くなり、意識が朦朧としてくる。これではどうにもならないと思い、昨日帰国したスイスからのヴォランティアが住んでいた部屋を見に行った。ドアを開けて中に入って見ると床が一面真っ黒である。

 腰を屈めてよく見てみると、それは何とハエの大群であった。床にへばりついて、幾重にもなってじっとしている。外の暑さから逃れて室内の涼しい床に避暑しているのだ。これがイスラエルの聖書が語っている東風だったのだ。(ヨナ 4:8、エゼキエル 17:10、19:12、ホセア 13:15)。

 この建物は木造、土壁、瓦葺さなのでキャビンとは比べものにならない程涼しい。直ぐにアロンに部屋替えを申し出ると、簡単に許可してくれた。夕食後すぐに引越しに取りかかった。この暑さの中での荷物運びは大変であったが、とにかく運び終えた。この建物はこのキブツの最古の住居だそうで、三軒長屋であるがその右端(東側)の部屋に落ち着いたのだった。