独りヴォランティア(26)

 バト・ヤアル(森の娘)公園は名の通り、イスラエルには珍しい森の中の公園で高地にあるのでとても涼しい。公園内の柵の中には孔雀が 2 羽、乗馬用馬が10頭飼われていた。孔雀は羽を大きく広げておりとても美しかった。ここは生駒の山麓公園のキャンプ場に似た雰囲気であった。

 ここから車で少し西へ上った所に今日の目的地ツファットがある。車中でヘレナが私に「この町の名前を正しく発音してごらん」と言うので「ツファット」と何度も繰り返して言ってみるのだが全て「ダメ」であった。英語では SAFAD と呼ばれるがヘブライ語の音読みは Tzfat で、日本人はTsufat と発音してしまうのだ。町に入って駐車場に車を置いて中央通りらしい石畳の道をそぞろ歩きする。道幅3m 程の上り下りの多い細い道の両側に続く様々な店や工房などを覗き見しながら進んでゆく。

 この町は芸術家の町としてイスラエルでは有名で絵画、彫刻、工芸品などのギャラリーが多くある。或る工房ではユダヤ教のラビらしき人が頭にキッパをかぶって手作りでカラフルなろうそくを作っている。その工房に入ってしばらく見学させてもらった。芯になる長い紐を熱して溶かした蝋の中に沈めては引き上げ、又沈めては引き上げ、それを何百回も繰り返し直径2~3cm長さ30cmに作り上げる忍耐の要る作業である。安息日や祭日に各家庭などで用いるのだという。

 この町の名は「眺望する」という意味から来ていて、標高は 884mの高地にある。ガリラヤ湖面からは1,044mの高地になる(ここはガリラヤ湖畔のクファルナウムの北西 12km にある)。