このツアーはヘルモン山(ゴラン高原)の自然観察が目的であった。様々な植物、動物、鳥類、石、砂などをガイドが説明して歩き回るのだ。小さな水晶や鉄の小塊のようなもの多数転がっている。鉄の小塊を手に取って表面の砂を除くと黒く輝く鉄の様なものが現れるのだが、手の中で見る見る赤茶色に錆びてゆく。
山頂を見上げると地中海からの風に流されて来る大きな真白い雲の塊が頂上を打ちつけては東の方へ流れ去ってゆくのが見えた。流れてゆく速度はかなりのものであり雄大な光景であったので、暫く目を凝らして眺めていた。「イエスの姿が彼らの目の前で変わり、顔は太陽のように輝き、服は光のように白くなった。・・・ペテロがこう話しているうちに、光輝く雲が彼らを覆った。『これは私の愛する子、私の心に適う者。これに聞け』と言う声が雲の中から聞こえた」(マタイ 17:2、5)が私の心の中に浮かんでいた。
私たちは小休止をはさんで7時間も道なきところを登り降りしながら歩き回った。ヘルモンあざみ、樫、杉、野生チューリップ、クローバー、からし菜、名も知らない白い花、いたるところに様々な獣の糞もあった。
イスラエル政府公認ガイドはそれらすべてについて解説していたが、彼の風貌は若くしたゴルバチョフのようで声も話す時の口元もそっくりであった。バスに帰り着いたのは夕方4時頃であった。参加者の大半が高齢者であったが、皆さん健脚であるのに驚かされる。