独りヴォランティア(36)

 私たちを乗せてバスは再び走り出した。ゴラン高原(バシャン)から北ガリラヤ高地を下ってエズレルの野へとまっしぐらに。主イエスと弟子たちもゴラン高原(フィリポカイザリヤ)から北ガリラヤ高原を通ってガリラヤ湖まで下り、そこからヨルダン川添いの道をエズレルの野の東端を通ってユダヤ(エルサレム)へと向かわれたのであった。

 私たちのバスはヨルダン川とは逆の方向タボル山から西へエズレルの野の真中を通り抜けて、カルメル山の南端にあるメギドの丘の南の谷を通り抜けてシャロン平野へと山合いの谷を下って行くのである。エズレルの野にはモレの丘がありその麓にはシュネムの村、ナインの村、エンドルの村々がありギデオンの勇士で有名なハロデの泉もある。

 その南にはサウル王が戦死したギルボアの山並みが見え、その彼方(南)にはヨセフが兄たちにエジプトに売られて行ったドタンの野がある。その向こうはサマリヤ、シェケム、シロ、ベテル、エルサレムへと続いているのである。

 いつかこの辺りを巡り回ってみたいという強い思いが心の中に湧き出てきた。その思いを背にバスはシャロンの野を走りつづけ、幾つかのキブツを回って次々と人々を降ろし、最後にアマニットに到着したのは夕方7時前であった。