独りヴォランティア(48)

 エルサレムには午後6時に着いた。ヨハナンは私達をセントラル・バスステーションに降ろして娘さんの所へ行った。ヨハナンとは10 時半にここで待ち合わせる事にして、私達はヤッファ通りを歩いて旧市街のダマスコ門を目指す事にした。途中でサンドイッチ店で軽食を摂った。二枚にスライスした丸パンに挟む具材を夫々が指示して注文する。私は何を選んだかは忘れてしまったが、誰かがツナ(まぐろ)を注文した事は憶えている。

 写真店があったので私はビザ延長申請用の写真を撮ってもらう事にした。地下室への階段を下りて行くと簡素なスタジオがあり、そこの椅子に座ってカメラに向かった。写真家は私に何度も「スマイル・スマイル」と言って私に笑顔を求めたのが印象に残っている。

 ダマスコ門まで来ると、その内側のアラブ人の店を見て歩いただけで約束の時間に遅れないように来た道を引き返した。途中 15分間、以前にS 師達と歩いた時に夕食を摂った店の前のベンチでドリンクを飲んで休んだ。

 キブツに帰着したのは深夜丁度 12時であった。エルサレムのセントラルバスステーションから旧市街までは徒歩で約 30 分である事が分かった。これで次回は一人で訪れても大丈夫だ。ここを歩いたのは今回が二回目である(この後、何度も歩く事になる)。

 私達は経験を重ねる事で体で覚える事ができる。私は自分で歩いたエルサレムやベツレヘムへの道はもう覚えてしまっていて、今、行っても歩く事ができる。聖書を繰返して読み、同じ箇所を繰返して学ぶ事もそれに通じる。一度よりは二度、二度よりは三度回を重ねる毎に頭と心に深く刻まれ、より自分のものになるのだ。