エルサレム独り旅(6)

 エルサレム旧市街の西側の城壁に添うようにして南方向へヒンノムの谷を下ってゆくと、谷は少しずつ深くなってゆく。芝が敷かれている辺りを安宿で得た地図で確かめてみるとミッチェルガーデンと録されていた。

 更に南に行くと芝は無くなり尖った岩や石が散在する。正に谷底という景観を体してくる。この辺りの周囲は木々に囲まれさながら林の中だ。左側の上を眺めると、木の向う側のはるか上方に城壁が見え、谷がかなり深くなってきていることが判る。

 右側の崖の上の方を見上げると幾つもの穴があり、それぞれの穴は、自然の物か人工のものかよく判らないが横幅約50cm、高さ1m、奥行き50cmほどで全ての穴の天井部に煤のような物がこびりついていて黒くなっている。ここで何かを焼いた跡のように見える。

 まさか2500年前の偶像礼拝の跡ではあるまいと思うが、興味津々である。更に進んでゆくと谷はいよいよ深くなり、辺りが薄暗く、気味悪くなり、心が穏やかでなくなって来た。