エルサレム独り旅(9)

 死海への道は蛇行しながら急な下り坂となって東の方へ向かっているが、100m先に右側に曲がっているので、その先は見えない。乾期なので道は白っぽく、また埃っぽい。三叉路に立った私は北のキドロンの谷の道へと進んだ。これからは登り坂だ。

 左側の崖は旧約聖書時代のシオンの丘、ダビデの町、エルサレム神殿に通じ、右側の崖はオリーブ山の南端の丘陵である。右側の崖にはアラブ人の住居、薄茶色の四角い建物が崖にへばり付くように、ぎっしり立ち並んでいる。

 少しばかり歩いて行くとアラブ人の若者が英語で「私がガイドしてやる」というのでついて行くと、キドロンの谷から左に外れて50mほど坂道を上って行った。すると右側に金網の柵があり、その奥の下方向にプールのような小さな四角い池(水槽)のようなものがある。石造りで水汲み場もあり池の中には丸い飛び石のようなものが3ケ置かれている。

 プールの長さは約10m、幅は3mほどで小さい。池の向う側はトンネルになっていて、その入口部分はきれいなドーム型である。彼は柵を開け無人の池へ私を案内して行った。ここがシロアムの池であった(ヨハネ9:7~11)。