王家の墓の入口の少し手前に入口を塞ぐ大きな丸石を転がす溝があり、その左手に丸石が立てられた状態で置かれてある。その石はめのう石のようで光沢があり、斑の小豆色をしている。高貴な人物の墓と思われる。
そう言えば聖墳墓教会のキリストの棺の蓋石もこれと同じ光沢のある色であった。墓の中を覗いて見たが真暗闇で全く何も見えない。しかし相当広い穴である。フラッシュをたいて写真を撮ってみた。日本に帰国してからそれを見ると、その穴は大きな四角い部屋になっていて、その壁に幾つもの穴があり、多くの棺を納めることができるタイプの墓であった。
ガイドブックによると最近の調査でこの墓が紀元45年頃のものでメソポタミアの女王ヘレナとその家族のものではないかという説が出たらしい。更に「暗いので懐中電灯は必携。できるだけ複数で行くようにしたい」とも書かれてあった。
私は何の準備もせず一人で来てしまったが、無知ほど怖いものはない。只、この墓は聖書の時代のこの地方の高貴な人物の墓がどんなに立派であったかを知るのに最良の遺跡であるので、見に来た価値は大いにあった。