再びキブツ生活(4)

 ユダヤ人の結婚式は 15世紀以降は習慣的にラビが司るようになり、現在に至っている。そして二人の結婚が公になるために公的祈り「ミシヤン」に必要な最小限 10人の成人男子の臨席が一般的に受け入れられており、今回のキブツでの挙式もそれは充分に満たされている。当人二人だけとか少数の身内や友人だけの挙式はユダヤ人の間では、有効と見做されていないようだ。

 式そのものは二部に分かれていて、前半は婚約の儀式で「エルシン」又は「キドゥシン」と呼ばれる。「エルシン」は申命記 20:7にある「エラス」(婚約する)からきている。「キドゥシン」は「ヘクデシュ」(奉献する)からきており神殿に捧げられた物は他の用途に用いることができないように、花嫁は夫以外の男性には禁じられた存在となったことを示唆するものである。

 この婚約式で「クトッパ」(婚約誓約書)の作成をする。この誓約の中で花婿は、もし離婚することになった時に女性に支払う金額をこの誓約書に書き込むことになっている。誓約書に二人が署名すると、花婿は花嫁の所へ案内されて花嫁の顔のヴェールを下ろす。

 花嫁が聖別されて未来の夫ものとなったことを示すためである。この後花婿は彼の父と花嫁の父に伴われ「フッパ」という天蓋の下へ移動する。続いて花嫁も両方の母に伴われてフッパの中に入る。

 フッパは一辺が1.5m前後の四角い布で、その四隅を棒の柱で支える。それを四人の男性が柱を持って支えるのだ。これは二人の新家庭の象徴である。その貧相な造りが家庭の平和の脆さを象徴するのだ。