再びキブツ生活(5)

 フッパの下に来た二人にラビは杯のワインを祝福して二人に飲ませると、花婿は花嫁の右手の人差指に指輪をはめながら「見よ、モーセとイスラエルの律法に従い、この指輪によってあなたは私のために聖別された」と唱える。ラビはクトゥパ(誓約書)を読み、花婿はクトゥパを花嫁に手渡して婚約式(エルシン)は終わる。

 式の後半は「ニスイン」(結婚)と言う。昔は婚約と結婚の間には一定の期間があった。マタイ福音書 1:18、ルカ福音書 1:27のマリヤとヨセフはこの婚約期間中であり、同居は許されなかったが公的には夫婦と認められていたのである。だから当然「シドゥヒン」(結婚式)と「ニスイン」とは別々に行われていたが、今日では一連の儀式として一つになっている。

 ラビは二杯目のワインの杯を祝福し「婚姻の七つの祝福」という頌栄を唱える。その詩は「我らの神、宇宙の王なる主よ、ぶどうの実の創造主であるあなたは誉むべきかな」で始まり、「花婿を花嫁をもって喜ばせるあなたは誉むべきかな」で終わる。最後に花婿がガラスのコップを踏み砕くという見せ場がある。結婚の喜びの時においても、神殿の崩壊以来、ユダヤ人の味わってきた悲しみを忘れないためにと説明されているが結婚の脆弱性や今なお購いを必要とする世界を象徴するものとも言われる。