キブツ到着(8)

 アロンの補佐役として同じく若くて小柄な女性がおり、名前はレビと言った。アロンは終始無愛想で事務的な対応で歓迎的な態度を示さなかった。レビはそうでなかったので、私は彼女の名前のことで話しかけてみた。「聖書ではレビは男性の名前だが、あなたは女性ですが、レビという名前なのですね」と。彼女はそれには何も答えず、とまどった表情をしただけであった。

 私たちはそこで入所手続きの書類に必要事項を書いてサインをし、貴重品を預けた。その後、右隣の薄暗い部屋に入り、棚に並べられている作業着と作業靴の中から自分に合うサイズのものを選んで取るように言われた。すべてが古くてよれよれのものだ。靴も足に合うサイズのものがなく、小さなものしかなかった。仕方なく適当なものを選んで持ち出した。

 かなり後でわかったことであるが、アロンが無愛想に接したのは、外国人ヴォランティアの中にはかなり無軌道な若者たちがおり、横暴な振るまいをするので毅然とした態度で接する必要があったということだ。又、レビが名前のことで返事できなかったのは、キブツの若者のほとんどが、旧約聖書を読んだことがなく聖書のレビに関して知らなかったのである。