最後の2週間(31)

 ベテシャンまであと 3kmという所で左折しギルボア山麓に沿って進路を北西に取る。ギルボア山はエズレル平原の南端に位置し、東西に 18km伸びる海抜 536mのなだらかな山である。この山上でサウル王とその王子ヨナタンがペリシテ人との戦いに敗れ戦死を遂げたのであった(サムエル上31章)。

 この辺りはハロデの泉から湧いて流れた水がヨルダン川に注ぐハロデ川があるのでその豊富な水を利用しいくつもの溜め池を造って魚を養殖している。イスラエルの中でも緑の多い地域であるが、このエズレル平原は古代からしばしば戦場となった。

 ギデオンやデボラという土師たちが活躍した舞台がこの辺りである。夕陽が西に沈むのを見ながら車は西に進み、メギドの交差点を過ぎる頃は辺りが暗くなりかけていた。メギドから南西に山あいの谷を下って行くとキブツがあるシャロンの野である。

 キブツに帰着したのは夜の8時半であった。この日ヨハナンは14時間かけて 500kmも走ってくれたのである。キブツの車の使用料(ガソリン代を含めて)として請求されたのは150 シェケル(約5000円)であった。ヨハナンには帰国の際空港で別途お礼を手渡した。実に内容の濃い一日ツアーであった。