最後の2週間(27)

 地下の巨大な水溜槽が満水になると、このマレシャの町が乾期(5月~10月)に使用する水の全てが賄えるのだという。このような巨大な水槽はイスラエルではエルサレムの北西 9kmにあるギブオン(槽の深さ27m)やエズレルのメギド(長さ70mの地下水道トンネル)等が発掘されているが私は見ていない。

 ここに貯えられた水は真夏でも冷たい(マタイ10:42)とヨハナンは私たちに説明するが、それを裏付けるように、外の酷暑に比べこの空間は実に冷んやりしていて半袖の上着では寒いほどである。

 その隣には鳩の養殖場後の大きな部屋があり、今も発掘された入口から入って来た鳩たちがここに住み着いている。神殿に献げる犠牲用の鳩を育てていたのだろうか(ルカ 2:24)。この他、この遺蹟からはBC3世紀から AD1世紀頃の住居、コインや美しい彩色画が描かれた墓地(本物は博物館で保存、ここにあるのはレプリカ)や巨大な洞窟となっている石切り場跡などが出土している。

 この石切り場の直ぐ近くには食用のサボテンの食べ頃の実を多数つけた私の背丈よりもずっと高い見事なサボテンの木が自生していた。マレシャのテルの丘の斜面には大きなテントが張られ現在も発掘作業をする人々を見ることも出来た。

 車に戻る途中には十字軍時代の巨大な石造りの建造物の一部が残されている横を通り過きた。この場所は近くのテル・ラキシュと共に聖書時代の遺蹟の宝庫で、今後どのようなものが発掘され、国立公園としてどのように整備されてゆくか楽しみである。