エラの谷から更に10km南下し、国道38号線の終点、東西に走る 35号線と交わる所がベイト・ギヴリン国立公園である。ヨハナンはここで駐車し私たちを下車させた。
真夏の太陽が容赦なく照りつける乾ききった土地、その炎天下で暫く待たされた私たちの所へ戻って来たヨハナンは私たちを公園の入口らしき所へ導いて行った。
入口と言っても門も柵もない所に電話ボックスのようなサイズの粗末な料金所があり、そこでヨハナンは私たちの入園料を支払った。ここの売り物は古代遺跡のテル・マレシャであることが後で判った。マレシャは旧約聖書の所々で登場するユタ部族の町である(ヨシュア 15:44、歴代下11:8、14:9、20:37、ミカ1:15)。
発掘は現在も進行中で、国立公園に指定されて間もないようだ。公園を囲むフェンスは未だ全く設置されていない。発掘が済んだ所には、解説が書かれた金属製のしっかりしたプレートが設置されている。
ヨハナンは私たちをどんな所へ連れて行こうとしているのか、私たちにはさっぱり分からない。只、茶色の凹凸だらけの乾燥した地面の上を彼について行くだけである。
草木一本も生えていない小さな丘のような所まで行き、そこに掘られた横穴から中へ入って行く。中は真っ暗闇だが所々に裸電球が灯してある。狭い土の階段を下りて行くと、横に小さな空間があり、その床には1m位の穴が掘られている。
ヨハナンによると、これは宗教的な潔め用のミクベ(水浴場)だという。更に下って行くと、そこは冷気の漂う広大な空間であった。天井の高さは数十m、直径は50mはあるだろうか。これはこの町の巨大な水溜めの井戸で冬の雨期に降った雨をここに集めておくのだ。