朝6時前に私たちを車で迎えに来たヨハナンは、それ以前に大量の温水を準備してバナナ畑の中まで運んで来ていたのだ。いったいこの準備に何時間要したのであろうか。とにかく、彼は大変な働き者、性格は真面目で控え目口数は少なく、自分はこんなに働いているのだとか、こんなにしてあげているなどは態度にも一切出すことはない。
それでいてヴォランティアと一緒に働きながら、全てに目配りをしているのである。バナナの収穫作業は次のように進められた。先ず、体格の良い女性ヴォランティアが薙刀のような柄の長い鎌でバナナの木から実った房を丸ごと切り落とす。その下で頑丈な体格の若いヴオランティア男性が待ち構えていて、肩の上に受け止める。
彼の肩には、座布団のようなマットが着せられていて衝撃を緩め、バナナや肩を痛めないようにしてある。彼は数十キロもあるその房を担いで足元の悪い畑地をバナナの木の間を縫ってトレーラーの荷台まで運んで来る。
トレーラーの荷台に居る男性がその房を取り上げ、天井についているホックに引っ掛けて宙品りにする。そして鉈(なた)のようなナイフでその大きな房から一列ずつバナナの房を切り取って温水の中に入れる。