このような具合でヘレナ宅の安息日を迎える儀式は5分もしないうちに終わった。一般家庭ならこの儀式に続いて家族揃って夕食となるのだが、ここはキブツである。金曜日の夕食はキブツの全住民が共同食堂でするのだ。
平素の夕食時には、殆ど共同食堂に来ないで自宅で食事している人々が、この夕べには、ほぼ全員が集まって来る。それは一週間で最も豪華な料理が出されるからである。
昼食のメニューに加えてデザート(フルーツポンチのようなもの)まで出てくる。私たちはヘレナ宅から共同食堂に来ると、ほぼ満席である。こんなに食堂が一杯になっているのを見たのは初めてである。
ユダヤ人にとっては、やはり安息日は格別の日なんだ、とこの時初めて体に感じることが出来た。室内は熱気さえ感じるほどで、人々は食事しながら笑顔で歓談している。夕食が済んでも自宅に戻る人は少ない。
食堂から北へ200mほどにあるハビーバーという建物に向かうのである。そこでドリンクやスナックを注文し(無料)、そこのホールでくつろぎながら歓談を続けるのだ。