私が心に強く感銘を受けるのは、エリヤが主に祈る際の姿勢である。「地にうずくまり、顔を膝の間にうずめる」。何と主への畏敬に満ち、真摯な、そして熱烈な全身全霊の祈りであることか。
今から3000年前のここ(カルメル山)はどんなであっただろうか。岩がむき出しで、旱魃(かんばつ)のために乾燥の極み。そこで彼は水平線の彼方から雲が湧き出ることをひたすら祈りつづけている。ここの景観は、その情景を彷彿させて余りある。
この場所に座り込んで心行くまで黙想していたい欲求にかられてしまうが、今日の目的地はオフラさんの家である。陽がかなり西に傾いているので私たちは元のセントラル・バスステーションに戻る。車ではなく、絶壁に近い所に作られた岩道を下ってゆく。
その崖の中ほどまで下りた時、ちょうど太陽が水平線に沈むところであったので、その光景を背に記念写真を撮った。麓の辺りまでくると、そこは公園になっていて多くの植物が植えられている。その一角にエリヤの洞窟と書かれた看板と矢印があった。しかし、私たちはバス停への道を急がなければならなかった。