キブツへの道(9)

 「わたしは良い羊飼いである。わたしは自分の羊を知っており・・・」(ヨハネ 10:14)

 1993年も晩秋になり、あすか野教会も私たちのことを前向きに考えて下さり、1994年4月1日から赴任する方向に進みはじめた。その頃になって私は家内に例の「キブツ奉仕ツアー」のパンフレットを見せた。

 すると家内は二つ返事で「行って来なさい。是非行きなさい。あとのことは何も心配しないで私に任せたらいいよ」と言うのである。夙川での13年間ほとんど休むことなく働き続け、朝夕刊配達から集金、ミニコミ紙の配達もし、この3年は金剛教会との兼牧、神学校での講義など一日の休みもなく働いてきたことを家内は見ていた。

 私は疲労の極みにあり目、耳、喉、肺の具合が悪く、特に耳は鼓膜に穴を開け管を通す処置を受けたばかりであった。私はこのままの体調であすか野に行くのに自信がなく、キブツの軽作業で体調を回復させてから行きたいと思った。

 又、神学校で旧約を教えるのにヘブライ語の初歩を学んでおく必要も感じていた。そこで一ヶ月だけでなく、一年ほど滞在したいと願うようになり、家内にその思いを伝えると二つ返事で「そうしなさい。あとのことは心配しないで私に任せて行ってきなさい」と言ってくれたのである。