この神父は何も語らず、私のすぐ後ろでじっと立っている。私は振り向いて彼の顔を見ると、目と目が合ったが優しい表情で、何か言いたげな顔をして私を見ている。そこで私はテーブルの上の募金箱にシェケルのコインを一枚入れると、ほっとした様な表情でどこかへ去って行かれた。
ロビーから礼拝堂に入って行った。明るくて広い礼拝堂だ。正面の祭壇には墓の中に横たわっているラザロとその左に天使がリレーフで彫られている。縦 1m横幅 2m少々はあるだろうか。その後ろには6本の燭台と 1m以上ある白く長いろうそくと、その中央に十字架のキリスト像が金色に輝いている。
その上にはラテン語で「私こそは、甦りであり命である」(ヨハネ11:25)の御言葉が金色で鮮やかに書かれている。更にその上にはドーム状の壁に合わせて半円形の大きな色彩画が描かれている。中央には右手をかざしたキリスト。その左右にキリストの方を向いて祈るマルタとマリヤの後姿、その両隣にはキリストの12弟子の姿である。
この会堂はフランシスコ会のものだが、床にはビザンチン時代のモザイク画のタイルも残されている。この礼拝堂でしばらく黙想してからロビーに戻り、その左側にある通略へ歩いて行った。